煎じ薬、生薬粉末、丸薬(生薬粉末)と

エキス製剤

効き目をとるか、便利さをとるか

漢方薬は本来、テレビドラマなどの時代劇に出てくるように、大半が煎じ薬で、草根木皮(そうこんもくひ)を土瓶でもって、一定の水量で煎じつめ、そのスープを飲むのが正式です。エキス製剤とはその煎じつめたスープを凍結乾燥させたもので、剤型的にはインスタントコーヒーと同類です。コーヒー通はインスタントコーヒーを出す喫茶店には行かないでしょうし、食通は料亭でインスタントものが出されたら、怒って帰ってしまうかもしれません。漢方薬とて同じこと、こだわりは大切です。

煎じ薬、生薬粉末、丸薬(生薬粉末)を使っていることを前提として話しを進めていきます。エキス製剤を使っていては、どうしても予測と結果に乖離が生じ、判断しにくいことが多いからです。誤解の無いように言っておきますが、エキス製剤は効かないというのではありません。薬効としては煎じ薬よりやや劣ることなどが短所としてあります。エキス剤は煎じ薬の約70%の成分量が必要とされています。煎じ薬、生薬粉末、丸薬(生薬粉末)と比べて、傷寒などの病勢猛悪なる疾病時に、薬方の効き方に手応えの差(薬力及ばず)を感じるということです。

ですから煎じ薬、生薬粉末、丸薬(生薬粉末)を主体としながら、エキス製剤を方便として使いわけています。やはりエキス製剤ならではの簡便さは魅力です。先ず煎じ薬を使って効果を確認した後ならば、エキス製剤を使っても良いと考えています。そうすれば煎じ薬との手応えの違いは、それを飲まれる方が判断できるからです。煎じ薬は、いろいろな生薬の組み合わせが可能であり、生薬量の加減をすることができます。また、エキスよりも高い効果が得られること、煎じる時のアロマテラピーの効果も期待できることなどが長所です。漢方薬はエキス製剤になりやすいものとそうでないものがあります。私達はそれを実際使って効き目で判断していけばよいのです。その方のライフスタイルに合わせて選んでください。

●丸剤とエキス剤の違い

金匱要略」では、八味丸(八味地黄丸)は乾地黄をはじめ八種の生薬を粉末にして蜂蜜を練り込んで丸剤にすると書かれています。 また、服用する時は酒で服むように指示してあります。すなわち八味丸は八種の生薬に、脾胃剤の蜂蜜、気(腸)剤の酒で胃腸を守っています。サーミン八味丸はこの原典の考えを守って、蜂蜜を練り込んで丸剤にしています。また、丸剤は体内でゆっくりと時間をかけ溶けて、緩和に効き目が現れてくるという自然の徐放性効果をもたらします。他の八味丸のエキス剤や散剤にしたものは、蜂蜜も使われておらず、脾胃剤が欠けています。そのため八味丸本来の効果が発揮しにくくなります。なぜ八味丸なのか、なぜ八味湯(エキス剤)、八味散にしなかったかは、より効き目を重要視した先人の素晴らしい智恵からであります。便利さをとるか、効き目をとるかはそれぞれの身体にあったものを選んでください。

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五 行 説

東洋医学(中医学)は素朴ともいえるぐらい自然の理を踏まえています。たとえば自然界を大きく陰陽という二つの現象に分けられすべて陰陽のどちらかに属している。

また、自然界は植物、熱、土壌、鉱物、液体という物質で構成され、これを木、火、土、金、水というように表現します。これを陰陽五行説といわれ、東洋の自然観なのです。人間もこの自然界に属し、小自然であり、たとえば動ずるものは陽、男性。静かなるものは陰、女性である。身体の内蔵もすべて陰陽のどちらかに属し、木、火、土、金、水のいずれかにあてはまるというのです。自然界は何時もうららかな日ばかりとは限らず雨や風の吹き荒れることのように身体も好調、不調があるわけです。

この陰、陽、男、女の身体の中で生命を営む主体となるのが木、火、土、金、水にあたる五臓だといわれています。自然界は木にあたる肝、火にあたる心、土にあたる脾、金にあたる肺、水にあたる腎つまり、肝、心、脾、肺、腎を指します。

ところで人間の生命活動はこの五臓だけでなく、いわば助手的存在にある腑というものがあり、臓と腑がコンビとなって助け合って生命を維持している。肝の臓に対し腑は胆、心は小腸、脾は胃、肺は大腸、腎は膀胱というように臓と腑は一対になっている。昔からよくいわれるように肝胆相照らすということわざはこういうところからきた言葉です。

肝の臓とか脾の臓というと現代医学ではすぐに肝臓とか脾臓そのものを受けとられがちですが実は東洋医学(中医学)では臓腑、現代医学でいう内臓とは名称が同じでも指しているものは同じとはかぎらないのです。

さて、こういった五つの組み合わせが五臓五腑とよんでいますが、東洋医学(中医学)にはもう一つの組み合わせがあります。その片方が心包という内臓です。心の臓は人間の身体の中で一生一定のリズムで動き続ける大切な臓器であり、これをしっかりと包んで保護している袋があるといわれ心包と名付けたのです。この心包に対する腑が三焦です。

この五臓六腑の一つの機能に失調が起こると身体の全体の調子が狂いいろいろな症状が生じるわけです。


五臓   肝  心  脾  肺  腎

六腑   胆 小腸 胃 大腸 膀胱 三焦

五行説の起源



五行思想
は、戦国時代陰陽家騶衍(すうえん。騶は{馬芻}。鄒衍と表記する場合もある,305年頃-240年頃)が理論づけたとされる。一説によると、元素を5つとしたのは、当時中国では5つの惑星が観測されていたためだという。春秋戦国時代の末頃に陰陽思想と一体で扱われるようになり、陰陽五行説となった。

行説は空間及び時間の双方を表記する概念で、陰陽説から派生した。

 古代中国人が 視点を天に移してから、博士達は、大宇宙を更に仔細に観察しはじめた。彼等は、陰陽交合によって、天界には太陽と月(太陰)が生まれ、更に木星、火星、土星、金星、水星の五惑星をはじめ、諸々の星が誕生したとした。太陽は「陽」の気の集まり、月は陰の気の集まりであるから、天上界が描かれる時、太陽は東、月は西を正位置とし、星は中央を占める事となる。一方、地上には、五元素「木火土金水」、五原色「青赤黄白黒」、五季節「春夏土用秋冬」(土用とは各季節の始まりの18日間に当たる)、北斗、南斗両星座の位置から五方位「東南中央西北」が設定された。

これらに共通する「」という数字は、言わずと知れたヤモリの変色に由来する。

 五行の「」とは廻り回る(めぐりめぐる)と言う意味である。

つまり、五行説とは「木火土金水」の五気がこの順序で回りつつ相互に影響しあうという原理なのである。

 以上で五行それぞれの根本的な配当は定まったが、各行同士の相関関係がまだはっきりしない。それを説明する為に生まれた理論がある。

 それが五行相生相剋である。

 古代中国戦国時代から漢の時代にかけて、様々な理論が徐々に作られていった。

 その中で最も有力な五行相関説は、戦国時代(紀元前三世紀頃)の思想家によるものと言われる「相剋説」と、前漢時代(紀元前二世紀頃)の儒家のものと言われる「相生説」で、それ以後の五行理論の基となり、あらゆる分野で用いられるようになった。それらを簡単に説明しよう。以下の現象を「相生」という。五行が対立することなく、順次発生していく様を説明する理論として生み出されたものである。

 原理は至って簡単・単純で、木火土金水の順で、五元素が順送りに相手を生じていくという事である。

「木生火」・・・・・・木は摩擦により火気を生ずる。

「火生土」・・・・・・火は燃焼する事によって灰(土)を生ずる。

「土生金」・・・・・・土は金属を埋蔵している。

「金生水」・・・・・・金属は表面に水気を生ずる。

「水生木」・・・・・・水が植物(木)を育む。

 相生説は春夏秋冬の四季の循環に土を加えたものである。

五行

木(木行)
木の花や葉が幹の上を覆っている立木が元となっていて、樹木の成長・発育する様子を表す。「春」の象徴。
火(火行)
光り輝く炎が元となっていて、火のような灼熱の性質を表す。「夏」の象徴。
土(土行)
植物の芽が地中から発芽する様子が元となっていて、万物を育成・保護する性質を表す。「季節の変わり目」の象徴。
金(金行)
土中に光り輝く鉱物・金属が元となっていて、金属のように冷徹・堅固・確実な性質を表す。収穫の季節「秋」の象徴。
水(水行)
泉から湧き出て流れる水が元となっていて、これを命の泉と考え、胎内と霊性を兼ね備える性質を表す。「冬」の象徴。